昨年の夏、母が亡くなりました。
弟と二人で母を見送り、葬儀のあと、二人で昔のアルバムをめくってみました。
今とは違い、写真は必ずプリントするものでしたので結構な量の写真がストックされていました。
僕らが子供の頃の写真はこれまでも何度となく見たことがありましたが、中には母の学生時代の写真などもあり、恐らく母はあまり子供には見られたくなかったのでしょう(笑)、押し入れの奥の方に仕舞われていました。
そして僕は一枚の写真に見入ってしまいました。
生まれて間もない僕を抱く母の写真です。
この写真はこれまでも何度となく見ていたはずです。
僕は長男ですので弟に比べて写真の量が多く、折に触れて「これがあなたが生まれた時の写真よ」と見せられていましたし、その多くに見覚えがありました。
しかし僕はこれまでこの写真をそんなにまじまじと見るほど注意を引かれることはありませんでした。
そうか・・・母はこんな眼差しで僕を育ててくれてたのか。
そんな当たり前のことをこの写真は教えてくれましたし、そんな当たり前のことを母が死ぬまで気が付かずにいたなんてなんて僕は親不孝な息子なんだろう・・・と臍を噛む思いでした。
そして遺品の整理のために入った母の寝室の枕元にはこんな写真が飾られていました。
恐らく母にとって、息子たちが反抗期になってろくすっぽ口を利かなくなる前の、ほんの短い幸せな時間の記憶だったんでしょう。
この2枚とも恐らく父が撮っているはずです。
父は特にカメラに関してこだわりがあったわけでも専門的な知識があったわけでもありません。
それでもこれはやっぱり「家族にしか撮れない写真」なことに間違いがありません。
正直嫉妬する程「人生のかけがえのない瞬間」がここには詰まっています。
もう昔々の写真ですので、どんなカメラで撮ったものなのかは知る由もありません。
父も7年前に他界しています。
しかしそれがどんなカメラであれ、写真の持つ力というものをこんなにも感じたことはありませんでした。
今回はカメラやフィルム別の作例ではありませんが、たまにはこんな記事も書いていきたいと思っています。
そして僕もこんな写真を死ぬまでに一枚くらいは残しておきたいものです。
0コメント